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[a,b]上の実数値連続関数全体の集合 C[a,b] の閉集合

C[a,b] の閉集合にはどんなものがあるでしょうか?

はじめに

前回の記事では、以下の主張が正しいことを証明した。
C[a,b] を閉区間 [a,b] 上の実数値連続関数全体の集合とする。

f,g\in C[a,b] に対し,

d(f,g) =\displaystyle\max_{x\in[a,b]}|f(x) - g(x)|

と定めると,(C[a,b],d) は距離空間となる

この証明はこちら

では、この距離空間上の閉集合にはどんなものがあるだろうか

それを一緒に見ていこう。

閉集合の例

A = \{f \in C[a,b] | f(b) = 2 \} とおく。

このとき、A は距離空間 ( C[a,b], d ) の閉集合である。

証明

方針

A が閉集合であることを示すので、A = \overline{A} を示せばよい。ここで、\overline{A}A の閉包を表している。

証明

A\subset\overline{A}は一般に成立するので, A\supset\overline{A}を示せばよい。

g \in\overline{A} とする。gAの触点なので,

A \cap S_{\epsilon}(g) \neq \varnothing ( {}^{\forall}\epsilon > 0 ).

よって, {}^{\forall}\epsilon > 0 に対して, {}^{\exists}f_{\epsilon} \in A\cap S_{\epsilon}(g).

f_{\epsilon}\in A より f_{\epsilon}(b) = 2 であることと

f_{\epsilon} \in S_{\epsilon}(g) より d(g,f_{\epsilon})< \epsilon であることに注意する。

|g(b) - 2| = |g(b) - f_{\epsilon}(b)|

\le \displaystyle\max_{x\in[a,b]}|g(x) - f_{\epsilon}(x)|

= d(g,f_{\epsilon})

< \epsilon.

すなわち, 0\le|g(b)-2| < \epsilon\ ({}^{\forall}\epsilon > 0).

|g(b)-2| = 0  (「任意の正の数 ε で抑えられるとき」より)

g(b) = 2

よって, g\in A.

以上より, A\supset\overline{A}.

結論

A は距離空間 ( C[a,b], d ) の閉集合である。

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