ベクトル空間の定義と基本的な性質の証明の紹介。
線形空間(ベクトル空間)の定義
- 線形空間
or
とする. 集合
の元に対し,
和:
,
スカラー倍:
が定まり, 以下の8つの条件を満たすとき,
を
線形空間という。
また,
を線形空間
の係数体という.


の元
が存在して, 
この元
をゼロベクトルという.
の任意の元
に対して,
となる
の元
が存在する.
この元
を
の逆ベクトルといい,
とかく. :




線形空間の簡単な性質
を
線形空間とする。
① ゼロベクトル
はただ1つに限り存在する.
②
が成立する.
証明
①
をゼロベクトルとする.
背理法で示す.
となるゼロベクトル
が存在するとする.
で
はゼロベクトルだから,
より,
(※1)
一方で
で
もゼロベクトルだから,
より,
(※2)
(※1) と(※2)を合わせて, ![]()
これは,
に矛盾する.
よって,
となるゼロベクトル
は存在しない.
すなわち, ゼロベクトル
はただ1つに限り存在する.
②
とする. スカラー倍で閉じているから,
であることに注意する.
と
より,
となる
の逆元
が存在する.
つまり,
.
さらに,
(
上で
より )
(
より )
(
より )
(
より )
(
より ).
以上より,
. □