べき集合の定義と例、カントールの定理と証明を紹介する。
定義(べき集合)
Xを集合とする。
Xのすべての部分集合の集合を2Xで表す。
べき集合の例:
X={a,b,c}のとき,
Xの部分集合は、
∅, {a},{b},{c},{a,b},{b,c},{c,a},{a,b,c}の8個ですべてである。
よって、2X= {∅,{a},{b},{c},{a,b},{b,c},{c,a},{a,b,c}}である。
Cantor(カントール)の定理
Aを集合とする。
cardA<card2A
カントールの定理の証明
方針:
カントールの定理を証明するために、背理法を用いる。
cardA≧card2Aと仮定し、矛盾を導けばよい。
証明:
cardA≧card2Aと仮定する。
すなわち、単射f:2A→Aが存在する。
X={f(C)∈A|C∈2A,f(C)∉C}と定義すると,
XはAの部分集合である。(i.e.X⊂A)
すなわち、X∈2A.
fは2AからAへの写像で、X⊂Aであるから,
f(X)∈Xまたは,f(X)∈Xcでなければならない。(※)
(i)
f(X)∈Xcとすると、f(X)∉Xで、X∈2Aである。
これは、Xの定義を満たしているということなので、
f(X)∈X.これはf(X)∈Xcに矛盾する。
(ii)
f(X)∈Xとすると、Xの定義より、
C∈2A,f(C)∉ C,f(C)=f(X)となるC∈2Aが存在する。
fは単射だから、C=X.よって,f(X)∉X.
これはf(X)∈Xに矛盾する。
(i)と(ii)より、f(X)はf(X)∈Xcでもf(X)∈Xでもないということになる。
これは,(※)に矛盾する。
よって、cardA<card2A.
これが、カントールの定理の内容であった。